マウスを使った実験、などという言葉をよく聞きますが、モルモットという呼び名も「実験対象」や「実験動物」としての意味でよく使われていますよね。
繁殖力の強さや、皮膚や被毛が人間に類似していたため、明治時代から実験動物として多用されてきたのです。
モルモットはうさぎよりは小さく、ハムスターよりは大きな体の、もふもふで可愛らしい動物です。
おとなしくて飼育しやすいという特徴から、子供用のふれ合い動物園に放されて自由にさわれたり、自宅のペットとして飼う人も多いです。
群れで暮らす習性のあるモルモットは、鳴き声で仲間とコミュニケーションを交わします。
そんなモルモットは、病気の時にも鳴くのでしょうか。
飼い主を群れのリーダーだと見なし、鳴くことで助けを求めたりするのでしょうか。
モルモットって?
モルモットとは、ゲッ歯目 テンジクネズミ科 テンジクネズミ属 の動物です。
見た目は耳の短いうさぎに酷似していますが、実はネズミの一種なんですね。
約3000年前に南米で家畜化され、アンデス地方では(今も)食用としてレストランの台所まわりで飼育されています。
その地方では、モルモットはクイと呼ばれています。
山岳地帯にある辺鄙なレストランに立ち寄った或る記者が、お店の人の足元をチョロチョロと走り回るたくさんのモルモットの姿を目撃したという話もあります。
客の食べこぼしの野菜屑などを自由に食べさせておき、ゆくゆくは料理に使ってしまうということでした。
飼育法はかなりユニークと言わざるを得ませんよね。
ペルーでは年間6万匹ものモルモットが食用にされているそうです。
そんなモルモットがペットとして飼われるようになったのは、16世紀頃といわれます。
スペイン人が南アメリカから持ち帰ると、すぐにペットとして幅広い階級で愛されました。
日本には1843年にオランダ人が長崎へ渡ってきた際に持ち込まれたといいます。
オランダ人がリス科のマーモットと混同し、「マルモット」と呼んでいたため、そこからモルモットと呼ばれるようになりました。
モルモットが鳴く時
モルモットは群れで暮らす習性を持ち、鳴き声を使い分けて喜怒哀楽を示し、お互いにコミュニケーションをとるのです。
ネズミ科に属するハムスターは縄張り意識が強く、自分のテリトリーに他のハムスターが侵入してくると激しい争いを繰り広げます。
モルモットもねずみの仲間なのに、群れで暮らし、仲間同士でお喋りを楽しんでいるような習性は不思議ですよね。
モルモットはとても穏やかな性格なのです。
本来、臆病で非常に警戒心が強いので、見知らぬ人間が寄ってくると尻尾や歯を鳴らし、警戒音を発して仲間に知らせ、一斉に逃げていくそうです。
ですが、ペットで一頭飼いで、人間に懐いているモルモットは人間を仲間だと思って、飼い主に鳴き声を発する事で不安を解消し、コミュニケーションを取ろうとします。
普段はあまり鳴かず、何かしらの要求がある時に鳴きます。
小さな体に似合わず、案外大きな声なので、初めて聞くと驚かれる方もいます。
何かして欲しいとき、例えばこんな時に鳴きます。
- お腹が空いたとき(餌の要求)
- 怒っているときや嫌がっているとき(無理矢理触ったりした)
- 遊んで欲しいとき(人間に慣れているモルモットが、かまって欲しい時に鳴く)
- 求愛するとき(飼い主に求愛することもある)
モルモットは病気のときに鳴くの?
コミュニケーション能力に長けたモルモットですが、体調が悪い時にはなかなかそんな素振りを見せません。
人間でも病気の時は食欲が落ちて、ただじっと寝ている方が楽なように、モルモットも病気のときは、むしろ鳴かずにじっとして動かなくなります。
動いたり、鳴き声を上げることで体力を消耗し、弱った体を更に悪化させることを本能的に知っています。
また、基本的に動物は自己防衛本能が働くため、自分が弱っていることをわざと隠そうとします。
前日には元気だったのに、急に容体が悪化した例が多々あります。
モルモットが病気のときに鳴く、という事例には厳密には当てはまらないかもしれませんが、こんな場合があります。
- くしゃみや鼻水
毛繕いや食事中に鼻をクンクンしたり、くしゃみをする。
また、感染症に罹っていても、くしゃみをします。
床材の杉や松などのチップでアレルギーを起こし、くしゃみや鼻水が止まらないモルモットもいます。
- 咳
いつも咳つくのは感染症などの疑いがあります。
呼吸が早く、ぜいぜいと繰り返している場合は呼吸器の感染症から肺炎になる怖れがあります。
- 排泄時に痛がって鳴く
排泄時に声を上げ、痛そうに鳴くのでしたら、膀胱炎や結石を患っている可能性が高いです。
人間に病気のことを訴えかける、というよりは、排泄時の痛みに耐えかねて、反射的に鳴き声を上げるのです。
まとめ
モルモットは日頃から鳴くことでコミュニケーションを取る動物です。
とはいえ、実際に病気に罹った時には鳴くことをせず、じっとしている場合も多いのです。
いつもと様子が違うと感じたら、いち早く察知し、すぐに病院に連れていきましょう。